強迫神経障害
男性 42歳 会社員
私は子供の頃から潔癖症で、自宅以外の扉のドアノブが触れませんで
した。
常に、世の中が汚染されていると思い込み、電車の中ではつり革も
触れず、マスクをして空気を吸わないようにしていました。
外出する時は胸がドキドキし、しょっちゅう気分が悪くなります。
精神科の治療を受け、外出の時のドキドキ感はなくなりましたが、
まだ、ドアノブに触れたり、つり革や、公衆トイレを使うのには抵抗があり、苦労しています。
また、何度も時計が気になり確認してしまいます。
将来に対して不安で仕方ありません。こんな私でも、治るのでしょうか。
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告白しますが、私も子供の頃は強迫神経症でした。大学時代、
アパートで一人暮らしを始めたのですが、ドアの鍵が気になり、
何度も施錠したかどうかを確認したのを憶えています。
小学生の頃は、自分のカバンの中に盗聴器が仕掛けられている
のではないかと疑って何度も何度も調べたり、大人になっても、
水道の蛇口から漏れるポタポタという音が気になり眠れなかったり、
母親以外の人が握ったおにぎりが食べられなかったり、
(そのくせ、コンビニのおにぎりは食べられるのですが)、
神経質で、いろんなことが気になってしょうがない自分自身を
持て余していました。
そんな私ですが、鍼灸治療家として歩み始めてから、様々な疾患に接し、
それを理解することによって、気持ちに余裕ができ始め、自然と
「普通の人間」になっていきました。ずいぶんと、ココロがラクになって
きたのです。
直木賞作家の奥田英朗さんの「空中ブランコ」という作品に、
強迫性障害になった人物が登場します。
この人物は、学会の発表の場では「欽ちゃん走り」で
登場してみたくなったり、義父がカツラであることを
人前でバラしたくなる衝動に駆られたり、
バカげているとは分かっているのに抑えきれない自分を
持て余しているのです。
これに対する治療法は、さすがに物語なので、ちょっと???
・・・と思いますが、「空中ブランコ」をお読みいただき、
参考にしていただきたいと思います。
この、強迫性障害の患者さんと、非常によく似た症状を持つのが
「引きこもり」の患者さんです。
(この「ひきこもり」に関しては改めて治療法を記述します)
さて、「強迫神経障害」ですが、なかなか理解できない病気には、
私たちはどうしても「遺伝的要素」を真っ先に思い浮かべてしまいますが、
それ以上に、育った環境が人格を形成していることを忘れがちです。
性格形成は、まず体質遺伝があって、その後になされるので、
後発的なものです。
従って、身体と精神は少しの狂いから生じるもので、
そのゆがみの性格を形成した親と、性格を形成して成長している
本人自身が自己確認しなければ、一生かかっても治らないものだと
いえるでしょう。
しかし、強迫性障害は、鍼灸治療によって大幅に改善されます。
ただし、身体と精神とのバランスが大切なので、
治療する側と、治療を受ける側との、コミュニケーションは
必要欠くべからざるものですね。
強迫性障害と引きこもりの2つのパターンと
その治療穴を紹介しておきます。
1)「肝気うっ血型」(いつもイライラしているタイプ)
このタイプは、過去にとらわれくよくよしている。
精神が抑圧されため息が多い。胸やわき腹が痛い。
動悸がおきやすく唾がネバネバしている。
眠りが浅く夢ばかり見る。
治療穴は後頚部では「風池(ふうち){(後ろ髪の生え際の下、
僧帽筋の両外側)、上肢(腕)では、「神門(しんもん)」(手首の小指)、
「内関(ないかん)」(手首の横紋中央から肘に向かい上2寸)、 など。
下肢(足)では 「太衝(たいしょう)」(足の親指と人差し指との間、
二つの骨がクロスしるところ)など。
この「肝気うっ血」型がさらに悪化していると「肝火上炎」といい、
消化器官の脾胃(ひい)が虚損している場合があり、
その時は、「足三里」や「上巨虚(じょうこきょ)」などを加え、
生命エネルギーを補います。
2「心脾虚損型」((やる気が起きなく、食欲もないタイプ)
このタイプは、神経も磨り減っており、なにもやる気が起きない。
そんな自分が 信じられず、受け入れられない。
不眠、寝てもすぐに目が覚めてしまう。 物忘れが多く、集中力が
持続しない。
顔色も悪く、舌の色は薄く白い場合が多い。 疑い深くなり、
涙もろくなり、し かし感情を出すのがヘタ。
治療穴は「神門」、「内関」を中心に、背中の「脾兪(ひゆ)」(第11胸椎、
きょく突起、両側の脊柱起立筋の中央)や、下肢の「足三里」や「三陰交
(さんいんこう)」(足の中央の骨の内側、うちくるぶしの上3寸のところ)
などを加えます。
強迫神経障害の最大の特徴は「くり返し行為」があげられます。
現在(平成22年4月)来院されたある患者さんは「戸棚が倒れてくる」と
思い込み、毎日、針金で倒壊を防ぐ行為をくり返していましたし、
別の患者さんは、配達したものがちゃんと届いたかを確認するため
「指差し行為」をくり返していました。
現在も治療中ですが、これらの「くり返し行為」はとまり、気持ちも軽くなり
「健康」を取り戻されています。



































