網膜黄斑変性症
赤穂市に住む男性
64歳・自営業
以前から、家の柱や窓がゆがんで見えていましたが、特に痛みがあったわけではないので、そのままにしていました。
最近になって、片目で見ると、黒ずんだように見えるので眼科に行くと網膜黄斑変性症と言われ、レーザー治療を受けましたが視力は回復しません。
新聞も読みにくくなってきています。眼科ではこれ以上回復しませんと、遠まわしに言われてしまいました。針灸で治療方法はあるのですか。
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網膜の中心部分を黄斑部といいます。この部分の下に新生血管という血管ができ、そこが出血してしまうのが網膜黄斑変性症です。
これは進行性の疾患で、出血を繰り返すうちに視野の中心部が見えにくくなる網膜の病気です。
アメリカでは失明の原因の第一位を占めており、食生活の欧米化が進むのに伴い、日本でも増加しています。
この男性が受けたといわれるレーザー治療は、正確にはレーザー光治療(光線力学療法)という治療法で、病変部にレーザー光を照射して、新生血管を焼くもので、病変部分のみの治療です。
しかし、網膜黄斑変性症の根本的な治療が必要な眼底周辺の血流改善にはなっておらず、悪化する可能性もあります。
この患者さんの、レーザー光治療後も視力回復に至っていない原因はここにあると思います。
西洋医学にも、東洋医学にも、長所や欠点はありますが、特に眼科疾患には細心の注意が必要です。
レーザー光治療(光線力学療法)は新生血管が中心部に及ぶ場合に選択すべき治療法です。
確かに、治療は数日の入院で済みますが、視力低下の可能性もあり、新生血管発生の可能性が変わらないため、再発や、もう片方の目にも発病する可能性があります。
網膜黄斑変性症には「萎縮型」と「滲出型」とがあり、レーザー光治療では「萎縮型」には無効です。
逆に、東洋医学(中医学)では、「眼窩(目玉周辺の窪み)」に針を打つことがあり、紹介する患者さんの写真(下に掲載)のように、ある治療院で「眼窩」に刺鍼したため、必要以上の腫れができてしまっています。
中国では「眼窩」に刺鍼することが多いのですが、効果は大きいのですが、このような事故が起きるのも事実です。

写真の患者さんのような例は稀です。
これは、もう、鍼灸治療家の治療法と、治療技術と、リスクマネージメントの問題でしょう。
「はせがわ鍼灸院」では、患者さんの心理的負担と、リスクを考慮して、「眼窩」には刺鍼しないことにしています。針も世界一細いものを使用し、写真のような腫れを生じないようにしています。
これは「緑内障」「白内障」などのすべての眼科疾患についても同じです。
治療法は、目の周辺の血流を改善し、眼底部分の炎症を治めることを目的とします。
従って、目の周辺も、「眼窩」に針を打つことはなく、眉毛の両端の「攅竹(さんちく)」、「絲竹空(しちくくう)」など。
後頚部、背部、下肢(足)などで、ツボは「緑内障」や「白内障」などとほぼ同じツボを選択します。
ちなみに、写真の「眼窩」を打たれて腫れを生じた患者さんは、腫れが引くまで2週間を要しました。治療は、腫れが引いてから行い、上記の治療法で、当初は週2回の通院治療を3ヶ月続け、視力回復の兆しがみえた4ヶ月目から週1回の通院、6ヶ月目からは月1回の通院治療をしています。視力は左(0.1以下)が(0.4)にまで回復しました。
もちろん、眼科医での視力検査は定期的にやっていただいています。
西洋医学、東洋医学を問わず、患者さん御自身が納得されるまで説明を繰り返し、インフォームドコンセントとコンセンサスをきっちりやることが、「視力回復」という目的達成への最大の近道だと思っています。
目の周辺の血流改善という、回り道のようで、実は最も確実な効果をあげ、しかも副作用のない中医学の治療法は、多くの眼科疾患の関係者に注目されています。
愛知県一宮市の「千秋針灸院」の春日井先生のように、数多くの実証例をお持ちの優れた治療家とも連携しつつ、眼科疾患の難病と向き合っていきたいと思っています。
はせがわ鍼灸院の測定法
当院の視力測定はNIDEK社のシステムチャートSC-2000を
5メートルの距離から測定します。
眼科領域では最新の視力検査法であり、
眼科医院も導入し始めている検査機器です。

(NIDEK社・システムチャートSC-2000)
この最新視力測定機は0.1未満の視力まで詳細に判定できます。
公式に0.03より遠見視力検査ができ、
弱視や色素変性の患者さん向けの測定機能を持っています。
液晶画面の特性をいかし、網膜色素変性症や
アズール病患者さん向けに白黒反転で測定し、
白内障の患者さんにはコントラスト測定することも可能です。
この視力検査は基本的に、眼科疾患の患者さんには毎回行います。
なお、視力は測定時の体調で微妙に変化がありますが、
体調変動も含め、患者さんの日常での生活の質
(QOL・クオリティ・オブ・ライフ)の向上に励みます。
視力において、歪みや暗点は「鈴木式アイチャート」で測定します。

( 「鈴木式アイチャート」 )
視界の境界、領域を把握する測定機です。
眼科や脳外科などで実際に使用されているもので、
変視の位置・状況や、視野欠損の位置確認をおこないます。
この「鈴木式アイチャート」は
歪みや暗点の視界での大きさや状況を客観的に記録し、
変視や視野欠損の状況を測定し、
鍼灸治療による変化を測定結果に反映させるものです。

( 「測定用紙」 )
上図のように、定期的に眼科疾患の患者さんの
個別測定をおこない、記録を照らし合わせ、
疾患の治癒状況や進行具合を把握するものです。



































