パーキンソン病 of hasegawa_shinkyuin

パーキンソン病

姫路市 67歳 女性 主婦
3年ほど前から、ちょっとしたことで、
つまずきやすくなりました。
その後、右手の震えがはじまり、
病院へ行き診察してもらったら
「パーキンソン病」といわれ、
アーテンという薬を飲んでいますが
病状は改善されず、両手が振るえだし、
以前よりも歩行が困難になりました。
ハリ治療で改善されるものなのでしょうか。
便秘がひどくなっているのも関係しているのでしょうか

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パーキンソン病は、中高年期に発症し、
手足の振るえや、体のこわばりを特徴とする、
徐々に進行する神経変性疾患です。

手の振るえなどがあると、台所仕事などが
できにくくなり、歩行が困難に
なると出かけるのもおっくうになり、
「生きているのもつらい」とおっしゃる患者さんもいます。

とてもやっかいな病気ですが、
ハリ治療で回復できる疾患です。


まず、パーキンソン病はどんな病気なのかを
理解しておきましょう。
パーキンソン病は、中脳という脳の「黒質」という箇所の
ドーパミンを含む神経細胞が変性したり
脱落(神経細胞が死んでしまう)ことによって
「線状体」という箇所のドーパミン濃度が低下し、
4つの特徴ある運動症状(後述)などが
現れる疾患です。


ちょっと難しいので、上記の説明を
わかりやすく記述しますと、

人間の脳にあるドーパミン含有神経細胞が、
加齢とともに変化し、
手足を動かしたりする運動がうまくいかなくなるのです。

パーキンソン病は、このような神経変性疾患のなかで、
アルツハイマー病に次いで2番目に多く、
10万人に100~150人が罹患しています。

加齢とともに発症頻度が高くなるので、
65歳以上の場合では
500人に1人の有病率といわれています。


近年、
「パーキンソン病はハリ治療で効果がある」と言われ、
はせがわ鍼灸院にも、
パーキンソン病の患者さんが急激に増えたのは、
新潟大学医学部の安保徹名誉教授の著書
『パーキンソン病を治す本』(マカイノ書房)の出版により、
社会的に注目されたからだと思います。


安保先生.JPG

  (安保徹先生(左)と長谷川院長)



この本に書かれている主な内容は、
「パーキンソン病は筋強縮(筋肉が強くこわばる)が強く、
肩こりや腰痛を伴い、
そのためにハリ治療が効果的であるが、
それだけでなく、パーキンソン病には
自律神経が大きく関係しており、
ハリ治療によって副交感神経を優位にさせると
患者の状態が改善される」、というものです。


たしかに、
鍼灸治療によって寛解されるとは言えませんが、
症状を緩和したり、
パーキンソン病の治療薬で不可欠になっている
L―ドーパ製剤(L―ドーパ)を軽減できる人もいますので、
パーキンソン病に対する鍼灸治療が注目されているのです。



さて、ここでパーキンソン病の特徴をあげておきましょう。

というのも、自分でパーキンソン病だと気づいていない人が
とても多いからです。
患者さんが高齢化しているなか、
主訴は膝痛(変形性膝関節症)だったり、
変形性膝関節症からくる腰痛であっても、
実際に調べてみると
筋強縮や手足の振るえ(振戦)を伴っていて、
パーキンソン病であるケースがあるのです。

そのように、背後に潜んだパーキンソン病を
患っている患者さんは、周りのものが思うよりはるかに、
「つらい」症状を抱えているのです。

パーキンソン病の初期症状は手足の振るえ、
歩行時の足の引きずり,などから始まります。

症状はゆっくりですが、進行性で、
通常、左右一側(片方)の振戦(振るえ)、
筋固縮(筋肉がかたまってしまう)、
動作緩慢(ゆっくりとした動き)で始まり、
小刻み歩行、前傾姿勢などの両側性障害に移行します。


振るえの特徴は、安静時は規則的な振るえで、
随意運動(自分の意思で動かすこと)で
減弱消失(振るえがとまる)します。
歩行の特徴は、「姿勢反射障害」といって、
歩き出すと途中から小走りになり、
軽く押されるとトトトトッと突進します。

以上の特徴をまとめますと、「パーキンソン病の4大特徴」となります。

1) 安静時振戦・・・手を膝の上に置くときなどに手の振るえがでます。

2) 筋固縮・・・患者本人は気づいていません

3) 無動・・・動作が非常にゆっくりです。

4) 姿勢反射障害・・・トットットッという突進したような
歩行障害や、姿勢異常のことです。



西洋医学的治療は、日本神経学会の
「パーキンソン病治療ガイドライン」詳しく載っていますが、
「薬物治療」がメインになります。

L-ドーパ製剤として、「マドバー」、「ECドパール」、
「メネシット」、「ネオドパストン」.

ドーパミン作動薬として、「カベルゴリン」、「ベルゴリド」、
「プロモクリプチン」、「タリベキソール」.

抗コリン薬として、「トリヘキシフェニジル(アーテン)」 など。

中医学的治療法としては、
副交感神経を優位に保つ治療法がメインとなります。
ほとんどのパーキンソン病患者が
交感神経優位になっており、
活性酸素を減少させることを目的とします。




パーキンソン病は中医学では「風」に属するので、
まず、副交感神経を刺激し向上させるため、
脈状診で「肝風」なのか、「血風」なのか、
それとも「湿熱の風」なのかを判断します。

それにより、「太衝」、「太谿」、「足三里」、「陽輔」
などの下肢(足)治療部位(ツボ)が、さらに、
上肢(腕)の「曲池」、「内関」などのツボが決定されます。

また、中国では、振戦には「頭皮鍼」の治療が常識とされ、
頭部へのハリ治療が最も効果的であるといわれています。
これは、耳のやや上部に極細の針を
1ミリ程度置鍼するもので、
痛みは全くありません。

この場合、首を支える強固な筋である
「胸鎖乳突筋」の硬軟の具合を確かめながら
刺鍼するのがポイントとなります。
さらに、堅くなった筋肉部分をハリで刺激し、
肩こりや首こり、腰痛など軽減し、
患者さんの身体全体が軽くなる方向に持っていきます。


副交感神経が優位になってくると、
この患者さんのような「便秘」や、
頭痛、耳鳴り、などが軽減されます。
そして、忘れてはならないのは、
「L-ドーパ」はやめてはいけないこと。
もう一つ、西洋医学でも、
中国医学でも共通しているのは、リハビリです。



パーキンソン病患者は
運動の開始に関与することと、
運動を自動実行させることの
二つの役割を持つ「大脳基底核」の障害が
あるわけですから、運動療法として、
第一歩をどう出せるか、
運動をどう持続させるか、が大切です。
体重をかけながら、(自分の体重を負荷として)、
身体全体の伸展、屈曲、
左右の体重移動などの歩き方の奨励、
患者さんが自分でできる歩行運動を実践指導します。


パーキンソン病の原因はどの医学書にも
「原因不明」とありますが、
ストレスが大きく関与していることに間違いはありません。
パーキンソン病患者で、顔面神経麻痺(ベル麻痺)や、
円形脱毛症などを併発している患者さんも多く、
ハリ治療が適応治療であることを物語っています。